ほっぺた以上くちびる未満
「ええやんか」
キス拒否られただけでこない苛立つなんて、ボクもちっさい男やな~と痛感しつつ。
「もう、他の男とヤッてもうてんねやろ?」
胸の奥で広がった黒い感情は、徐々に喉を昇って口から溢れてくる。
「1人とヤッたら、2人とヤるんも10人とヤるんも同じようなもんやろ?
せやから今更ボクに汚されても、なーんも問題あらへんやないの」
なんや自分でも驚くくらい最低なセリフがポンポン出てくる。
「だって1人目に抱かれた時点でキミのカラダ、もう汚れてもうてんねやから」
これはさすがに言い過ぎやなァ、そう思った時には既にほっぺに激痛が走っていた。
ま、自業自得やね。
「最低」
ヒリヒリと痛むほっぺをさすりながら、ふぅと溜め息をついた。
だってしゃーないやん。
キミが男おるとか嘘つくから……。
ボクのキス、ソッコーで拒否するから……。
せやからちょっとムキになってもうたんやないの。