ほっぺた以上くちびる未満
◇
首に貼ったバンソーコ。
「どうしたのソレ」
「ちょ……ちょっとケガしちゃってサ」
「へぇ~?
そんなとこどうやってケガするのよ?
素直にキスマークって言わんかいッ!!!」
周りの人に見られたくなくてバンソーコで隠したら、逆に見抜かれやすくなって困っている。
まだくっきりと首筋に残っているあの人の印。
付けられてから数日経つのに、その痕はまだ熱を帯びたままだ。
その痕に触れる度、ドクンドクンと心臓が激しく動いて、胸がぎゅうっと苦しくなる。
「あんたまさか彼氏できたの!?」
「できてないよっ」
学校に行けば毎日のようにネタにされる。
もうウンザリ。
余計なことばっかりして、ほんっと最低な男。
そして今日、その最低な男に部屋へ招待されて喜んでいる私は、最高に馬鹿な女だ。