好きじゃない。ワケでもない。


ことの起こりは静かな春の放課後。

可もなく不可もなくをモットーに大衆に埋もれた生活をしていた私。

明日提出のプリントを忘れるというなんとも普通なボケをやらかした私は友人と別れ一人教室へと戻っていた。


話声と人の気配がしたが気にせずドアに手をかけた。


中には、所謂クラスの中心的な男子が数人。特にあたしに気付いた風もなく教卓の前で騒いでいた。



「ぎゃーっ、負けたぁっ」

そう言ってトランプを机に投げたのは小泉拓。世間で言う所のイケメン、らしい。

「はい、拓ちゃん3連敗ー!!罰ゲームけってー」

小泉拓の背中をバンバン叩きながら笑ってる彼は佐内上総。可愛い系、らしい。

「ぎゃはは、拓まじ大富豪よえー!!」

トランプを片付けながら話してる長身の彼は長崎務。だった気がする。


他にも数人が笑いあってるなか小泉拓がうなだれていた。

元気、だなぁ。


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