好きじゃない。ワケでもない。
「行こう」
もはや誘いではなく決定事項になったらしい放課後デート。
気力を使い果たしたあたしは小泉拓のなすがままになっていた。
「映画みたいのあるんだ」
そう言って笑う小泉拓。
なんつー嘘臭い笑い方だろう。
繋がれる手は暖かいけど優しくはない。
小泉拓。
あたしは勘違いなんか、しないし、できない。
だからはやく…
「ねぇ留衣サン、俺とつきあおうよぅ」
………消えてくれないかな。