好きじゃない。ワケでもない。

頭がぐらぐらする…

あたしには流行りの3Dは合わないみたい。

映画がやっと終わりパラパラと電気が着き始める。

「おもしろかったな…っておい、大丈夫かよ」


見るからに真っ青なあたしを流石に心配したのか眉間に皺をよせ顔を覗き込んでくる。

多少の常識は残っているようで安心だ。


「へいき…」

「じゃないだろ、ほら」


そう言って肩を抱かれながらベンチに連れていかれる。

裏の無い、真剣な顔に見えたのはきっと気のせい。


「水飲めよ」

「ありがとう」


冷たいミネラルウォーターを飲むと少し頭がすっきりした。
俯いていた顔をあげると心配げな顔をした小泉拓と目が会う。
ドキン…

なんて事にはならなかったけど、少し気まずくて目をそらす。


「なに?かっこよすぎて直視できなかった?」


あぁ…なんかだんだんこいつがかわいそうになってきた。

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