雪情

【雪山ー１０】


ぷっ…！








田崎は一瞬
笑いそうになった。







「信用できんな。
いくら私から
逃げたくとも、
もう少しマシな嘘は
つけんのか？」







「そこまで言っても
信用できないのか？
最低だな刑事ってのは」







その言葉に田崎は
少しカチンときた。






「いきなりそんな
現実味のない話をされて
信用すると思うか？
白井よ、
お前ならいきなり
そう言われて、
相手を信じるかね？」







「なら逆に嘘なら
こんなミエミエなバカ話
すると思うか？
本当に嘘だとしたら
俺ならもっとうまく
嘘つくぜ。

さっきの看板にも
冬の山道この先
吹雪に要注意と
書いてあっただろ」



と続けて白井は





「毎年この時期に
犠牲者が出てるんだ。

数名しかいない目撃者も
遠くから見た時、
吹雪のせいか
毛が全身真っ白とか、
毛むくじゃらとか、
２ｍを越えている
大男とかの証言が
でている。
猟銃を持った猟師でさえ

間近でヤツを見たものは
全員死んでいるんだよ！」