雪情
【車酔いー6】


「なんで、
こんな面倒なことに
なったのやら……」





白井は
ふてくされている感じで
あった。






「こら、
小川さんに聞こえたら
どうするんだ」







「別に聞こえてもいいさ

それより
意外と署では、
あんたが
帰ってこないことに

誰も気付いてなかったり
してな」






と白井は
楽しそうに言った。





余程
田崎をからかいたいの
だろうか?



顔だけ見れば
無邪気な子供のような
笑顔である。






「まったく失礼な。

ワシを心配してくれる
部下くらいは、
いるに決まっとるよ」






もちろんだ。

もちろんだとも!


あの村から
田崎が帰ってこないのを
心配する部下はいる。





そう……例えば内藤!!







一番の部下で、
いつも
身を案じてくれたことを
覚えている。







帰ることを誰にも
伝えていないので、
今一番心配をして
いるのは、
内藤だろう。






今頃
何をしているだろうか…






………………
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