雪情
【雪山ー12】


それでも
得も知れぬ不安は
拭えなかった。







というのも
雪はさらに凄みを増して
止む気配はなく、

さっきまで
雪で明るかった森は
吹雪によって
暗く何も見えない。





不気味である。







「ペースを速めよう」







田崎はそう言うと
早々登っていく。







今、田崎の足は
普通の靴なので
すでに雪で濡れて
感覚はなく、
手袋もないので
手は悴んでいる。







更に
この薄いコートでは
全身を暖めることは
できない。







とても
雪山を登る
格好でないことは、
誰が見ても
一目瞭然である。






とにかく
体が凍えてしまう前に、
早く山を越えるしか
ないのだ。







木はいつのまにか
周りに一つもなくなり、
視界は一面雪だらけだ。







と言うことは、
もうすぐ頂上だろうか?



だがここにきて、
とうとう田崎の体力が
尽きてしまった。







吹雪も
さらに勢いを増し、
もう視界が見える
状況ではなかった。






すると……





バン!!!








急に田崎達の目の前に
でかい影が現れた!






「うおっ!」








いきなりのことなので
田崎は焦る!








拳銃を取り出し、
田崎は慌てて身構えた!
< 12 / 284 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop