雪情
第11章 さ迷う謎
【予感の的中ー1】


目の前で
白井が突然消えて、
田崎は驚いていた。





「おい、
どうしたんだ!?」




田崎が近寄ってみると、

そこは
斜面になっていることが
分かった。




「ここから
滑ってしまった様ですね」




と大久保と小川が
覗き込んでいた。




その斜面の先は暗く、
白井の姿は田崎達から
見えなかった。





しかし、
ここで大丈夫かどうか
大声を出そうものなら
雪男に声が届き、

狙われる危険が
あるかしれないので、

声で
白井を確認することが
できなかったのである。




無論
下にいる白井も
そのことを分かって
いるので、

声を出さないでいる。




「仕方ない
我々も滑り降りてみよう」




「本気か?
そんな危険なこと俺は
嫌だぜ」




小川は
この考えに反対らしい。




「このくらいの坂なら、
ゆっくり滑れば
大丈夫と思うがね」




「先に何があるか
分からないなら、

俺は行かないぞ」





ここまで拒まれると、
田崎一人で行くしかない




「じゃあワシ一人でも
見に行ってくるか……」





「私も行きますよ」




そう大久保が
声をかけてくれた。



これは心強い。




「おお、ありがたい。

では行きますか」




田崎と大久保は
斜面に向かい腰を下ろし

ゆっくりと滑り降りた。




「お、おい。待てよ」




余程一人きりになるのが
嫌らしく、

小川は慌てて
田崎の後を追い
滑り降りた。




結局全員で
斜面を滑り降りる事になり、

田崎達は
無事に下に着いた。




周りを見ると、
折れた木の他に
小さな岩が何個か
転がり落ちていた。



そして、
目の前には
白井が立っている。




田崎達が降りてきたのに
気付いたのか、

白井は振り向いた
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