雪情
第2章 犯人言動
【近付く影ー1】


人間は生きている中で、
心の底から幸せ!
と感じる瞬間は
何回あるのだろうか?






田崎はまさに
今がそれである。







「あ~腹がいっぱいだ!」

と田崎は腹をなでる







白井は
呆れた顔で見ている。






この小屋には
食料があったのだ。

いや、食料だけでなく
台所や飲み物もあり、
小さな小屋とばかり
思っていたが
実は吹雪で上が見えなく
二階建て
だということにも
気付いた。







小屋というより
家といった方がよいか?






そんな広い小屋だが、
中には誰もおらず、
今は無人と化している。








「あんた…
よく知らない家の
食べ物を
食おうとするよな」







「いや、
腹が減っては戦ができぬ
というじゃないか」







笑いながら田崎は答え、


続けて



「…と言うのは冗談だ。
食料も賞味期限は
過ぎていないし
毒でも入っている
わけでもあるまい。

ワシは
こんな薄着なんだから
食わないと
体が温まらんよ」







「それでも俺はゴメンだ」







白井は
一つも口にしようと
しない。







「お前は
暖かい服を着ているから
いいだろう。

凍え死ぬよりは
食ったほうが
マシだからね」







田崎は
緊急事態の時は
最善の方向にもっていく
癖があるのだ。







それでも
白井は納得しない
様子である
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