雪情
【予感の的中ー10】


と白井が
横から割り込んできた。




「無事なら
早く行こうぜ!!

手足の感覚が
なくなってきた!」




田崎は
やれやれといった感じで
肯いた。




すると田崎は
ふとある事を思い出した。




「ちょっと待った!

少しワシに
時間をくれんか!?」




と田崎は
ゆっくりと歩き始めた。




向かった先は
荻原が横たわっている
方向である。




「お、おい!」




白井はそう言ったが、
田崎は振り返らない。




皆死体を見るのが
怖いのか、

近寄りたくない場所である。




荻原は先程のまま
放置されていた。




雪のせいで
だいぶ埋もれていたが、

田崎は雪を払おうとは
しない。




そして屈みこんで
顔の辺りの雪だけ払い、

折れた首を
ジッと見始めた。




「おい、
何やってんだよ!」



白井の言葉に
反応するかのように

田崎は立ち上がると、
こちらへ戻ってきた。



「とりあえず
家に戻るぞ!!」



そう一言言い、
家へと歩み始めた。



そして
家の目の前に着き、

田崎は注意しながら
引き戸を開けた。



中は
変わった様子はなく、

誰かが入った形跡もない



田崎達が
出かけたままの
状態である。




「では、
念のため皆さんで

家中を
チェックしましょうか」




田崎の指示通り、

散り散りにチェックを
開始した。




と言っても
大きな家でもなければ
部屋数も少ない。



ましてや
カラッポの部屋に

人が隠れるなどの
スペースなどもない。




当然数十秒で確認は終り、

おかしなとこは
一つもなかった。




「最終チェック完了~」




白井が
二階から降りてきながら
言った。




そしてドカッと床に座り
田崎を見上げた
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