雪情

第１３章 慟哭、そして…

【二人目の死者ー１】


これは
あまりにも残酷な
現場である。






部屋全体には
既に血生臭い臭いと、

おびただしい血が
流れ出ている。







そこに
大久保と白井の二人が
やってきた。






「おい
今度は何があった！」





と白井は小屋に入り
見ると、

一瞬
時が止まったように
固まってしまった。






言わなくとも
白井は分かった。





もう川上は死んでいると






誰もが
口を開けない
この悲惨な状況は、

その場に
何時間も居るように
長く感じてしまう。






すると
小川がふら付きながら
川上に歩み寄った。





「ど……どうしてだ、
どうしてなんだ………」






そっと川上の顔を触れる






それを見た田崎は
「おが………！」
と言いかようとした時、

後ろから凄い力で
白井に止められた。






「まさか
死体は証拠として
触れずにいろって
言うんじゃねえ
だろうな？

今それを言ったら
許さねえぞ！」






そう言われた田崎は
黙って見ていた。






小川はしゃがみ込んで
優しく川上を抱きしめた






泣きながら、
二度と目の開かない
川上を

抱きしめた。






何度も何度も
川上の名前を呼び

抱きしめた………






川上の死因は
出血死である。






その光景を
田崎・白井・大久保の
三人は、

ただ見守るしかなかった







その中でも、
白井が最も悲しい目を
していた。






田崎から見たら
何故か白井が
薄っすら泣いている様にも
見えたが、

暗くて
よく見えなかった