雪情
【近付く影ー4】


このドアは
引き戸式なので
鍵も掛けられない。






しばらく沈黙が続く。







そして白井は
田崎の方に近寄ると



「俺は二階から
ヤツの様子を見てくる、
頼む手錠を外してくれ!」






「え…?」






田崎はためらった。




犯人の手錠を外す
意味も分かるだろう。






「いや、
しかし………」


白井はすかさず



「緊急事態なんだ!!
もしものことがあったら
マズイだろ!!

あんなでかい人間
見たこともない!

そんな人間が、
包丁を持ってるんだぞ!」






「う…分かった、
仕方がない」






田崎は鍵を取り出し、
手錠を外した。






「あんたは
そのまま銃を
構えていてくれ」







白井はそう言うと
急いで二階に上がって
行った。







田崎はドアに向かい
拳銃を構えたままだ。







「2m以上か、
人間か化け物か
どちらかね………」

と呟く。






外からは
吹雪の音しか聞こえない







白井も
よくこんなうるさい
音の中、
雪男の声が聞こえた
ものだ


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