雪情
第15章 禁じられた過去
【強盗殺人ー1】


一体
何があったのだろう?



小川の肌は
すでに色あせて、
紫色に変色している。



それを、
白井と大久保は
ただ呆然と
見るしかなかった。



田崎は抱えながらも
小川をジッと見つめる。




「…白井よ!手伝え!」


といきなり田崎は
大声を上げた。




「はあ!?」




突然の言葉に
白井はそう答えるしか
なかった。



「いいから
こっちに来い!!」



「なんだよ…」



わけも分からず、
仕方なく白井は
田崎に近付いた。



すると田崎は
無理やり白井を
しゃがませ、

その背中に
小川を背負わせた。



「うわ!!なんだよ!

死体なんて
背負いたくねえよ!」



ひんやり冷えた
小川の手が、
肩にかかる。



その冷たい感触だけで、

白井は身の毛がよだった




しかし、
そんな白井に
田崎は意外なことを
言った。




「バカモン!

これは、
まだ死んでおらんわ!」



白井は背負いながらも
目を丸くした。



「え?
もうこんなに
冷たいのにか?」



「雪で凍傷して
冷たくなっとるだけだ。

とっとと運ばんかい!」



言われるがままに、
白井は
小川を背負いながら
家の中に入っていった。



確かに
首にかすかだが
息を感じる。




小川は生きているのだ。



田崎は白井の背中から
ゆっくりと小川を
下ろすと、

床に寝かせてあげた。




そして、

「大久保さん、
すまないが
お湯を沸かしてくれます
かな?」



「あ、はい分かりました」



言われるがまま
大久保は台所に行った。



そして田崎は
白井をチラッと見て、


「白井よ、
お前は二階から
カーペットを持ってこい」



「俺だけ対応が違う」



と白井は
文句を言いながら

二階に行った
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