雪情
【強盗殺人ー5】


「そうだ、
これ口に詰めれば
温まるし、

もしかしたら
目が覚めるんじゃ
ねえか?」






と先程の
目潰し用の団子を
手に取り差し出した。






「そんなもの食べたら、
それこそショックで
死んでしまうわい」






田崎に続き、
大久保もにこやかに
答えた。







「ハハハ、
相変わらず白井さんは
冗談がうまいですね」






しかし、
白井にとっては
満更冗談でもなかった。






だけど、
雰囲気的に
本気だったとは
言えなくなってしまった
ので、

白井は
しぶしぶと団子を
置き直した。







「では、
起きるまで待ちますか…」







白井はこの言葉に、
いい加減
飽き飽きしていた。





「待つ?また待つかよ」







「仕方ないじゃろ。

白井よ、
お前さんも
もう少し我慢してくれ」






「…分かったよ、

じゃあたまには
一人になってくるよ」






と白井は立ち上がった。






「お、おい
どこ行くんだね?」






「安心しろ、
外には行かねえからよ。

二階に行ってくるだけだ」







「なんだ、そうかね。

それならついでに、
二階の窓から
見張りでもしていてくれ」







田崎がそう言うと、

上がりかけた階段から
白井は振り向いて、


「へっ相変わらず
人使いが荒いな」







と言い、二階に上がった
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