雪情
【強盗殺人ー10】


「とにかく
何度言うように、

私は事実しか
話していません」







白井が力強くそう言うと

先程まで黙っていた
もう一人の刑事が、

ゆっくりと
二人に近付いた。






もしかしたら
この貫禄のある刑事なら
分かってくれるかも
しれない…





白井は
そう胸を膨らませると
その刑事が口を開いた。







「藤川竜一、26歳。
藤川グループの社長で
年収数千万程。

殺害現場は
自宅のマンションで、
午後10時30分頃
藤川の部下二人が
包丁で刺された
藤川本人を発見し、
警察に通報。

死亡時刻は
その二時間ほど前で、
部屋は荒らされて
金品を盗まれていた…」






白井は黙って聞いている







「…お前さん以外に
誰がいる?

もう、
容疑を認めたらどうだ?」







「そ、そんな……」






正直ショックだった。





この刑事までも、

白井の話を
信じてくれなかったのだ







「後は
裁判に任せることに
しましょう。

いくら問い詰めても
コイツ答えませんから」







「そうだな……
では行こうか」







と二人は
立ち上がった。







それを見た白井は慌てた






もし
裁判なんてことになり
強盗をしたと
判決が下れば、

何十年も
刑務所から出られなく
なってしまうだろう。






それは
非常にマズイことだ。






白井には
すぐに刑務所を出て、

やらなければいけない
とても大事なことが
あるのだ
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