雪情

第１６章 目覚めの時

【外からの威圧感ー１】


白井が一階に下りると、
小川は
眠ったままである。




先程と比べても
大差はないが、

少しは
肌の色が戻っている
ようである。




「まだ
目が覚めないのか？」




「ええ、
部屋にストーブでも
あれば、

いいのですが…」




大久保が
そう返事をすると、

白井は
ジッと小川を見つめた。




「………」




何か考えているのか？




白井は呆けているので、
田崎は
手を顔の前で振りながら


「おい、大丈夫かね？」




すると白井は
何かハッとしたように
言った。




「よし、
このくらいなら
アレを巻くか」




と白井は台所に行き、
戸棚をあさり始めた。




田崎は不思議に思い、
後ろから覗き込んだ。




「何しとるんだ、
白井よ？」




「チョットな…
ん？あったあった」




白井が取り出したのは、
ごく普通の
サランラップだった。




それを
ポンと田崎に手渡し、


「こいつを
そいつの体に巻いてくれ」

と言った。




ふざけているのかと
思ったが、
顔は至って真面目である




「こんなものを巻いて
どうするんだね？」




「いいから言う通り
巻けばいい。

ホラ、早く」




そう言いながら
白井は小川の服を一旦
脱がし、

田崎に指示をした。




田崎は言われるがままに

手、足、胴、首に
ラップを巻いていった。




「あんまり
キツく巻くなよ、
血が止まっちまうから。

そうそう、
そんな感じだ」




全ての箇所に巻き終わり

小川はミイラのように…
…とまではいかないが、

それに近いほど、
体のほとんどに
ラップを巻かれていた。




そして、
再び服を着させて
あげると、

白井は
フウッと息をついた