雪情
【雪山ー2】


田崎は平気そうな顔で



「このくらい平気ですよ」

と続けて


「電話の方は
なんとかなりますかね?」







「スマンな~
古い電話が壊れて
新しい電話に変える為、
今は使えないんだ。
村唯一の電話だから
今度は最新のにしようと
思っているところ
なんだな」







なるほど、


奥に目をやると
旧型の壊れた電話機が
置いてある。







しかし、弱ったものだ。







携帯の電波も届かない
こんな山の中では、
町への連絡の取りようが
ない。







電車は雪で運休。





唯一町への道路も
雪で通行止めの上、
電話もできない。






八方ふさがりである。






それでも田崎は諦めずに
駅員に聞いてみた。







「明日には
電車は動きますかな?」







「いや、
この村じゃ
一度雪が降ったら
三日は電車が
動かないんだな、これが

オメー
この辺りじゃ常識だぞ?」







こう聞くと地方弁は
時にキツイ言い方だが、
本人とってみれば
至って親切に話して
いるのである。







しかし、
田崎はそんなことは
気にしていない
様子である。







それどころでは
ないからだ。






明日までに隣の
この無口な男を、
警察署に連れて
行かなければならない
のだ。








その理由は………
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