雪情
【外からの威圧感ー5】


久々の飲み物に
種類は必要ない。




例えお湯でも
十分美味しく感じられた




「ゴホッゴホッ」




「小川さん、
大丈夫ですかね?」




急いで飲んだせいか、
小川は咳き込んで
しまった。




「ああ、大丈夫だ」




と深呼吸をし、
自分を落ち着かせた。




「ふー……
だいぶ落ち着いたし、
そろそろ話そう」




小川は、
巻きつかれた
ラップを取りながら
話し始めた。




「俺は
雪男を探しに
森に行ったんだ。

カモシカの死骸の
あった森にな」




「やはり
そこに行ったのですか」




「ああ、
だが問題がその
カモシカだ」



それに
大久保も興味深そうに
聞いてきた。



「例の
首が折れていた
カモシカですか?」



「ああ、
そのカモシカが
俺らの見た時と
全く変わっていた」



あの死骸に
変わった事?



田崎はそう思いながら
小川に聞いた。



「カモシカに変化でも
あったのかね?」



「変化と言うか、

何かこう…

…食い荒らされた
かのように、
内臓が飛び出て
いやがったんだ」



「内臓…?」



田崎は
その意味を考えた。



「分かるだろ?

とても口では言えない程
悲惨な光景だ」



「一体誰がそんな…」



その言葉に
小川は
少し苛立ちながらも
答えた。



「もう
そんなこと言わなくても

いい加減分かるだろ!?」



「ま…まさか、

それもヤツの仕業かね?」



田崎は
興奮しながら問いかけた



「ああ、
おそらくな……

でも俺は
何回もあの辺りを
グルグル回っていたから

いつ雪男が
そんな事したのか
分からない…」




小川は続けて、

「そして
それを見た直後に、

雪男らしき人影が
森の中から
近付いてきたんだ」
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