雪情
【外からの威圧感ー7】


当然帽子や手袋のことも

拾う暇など
あるはずもなかった。






「そんな事が
あったのですか…」






「ああ、
ほんとに恐怖だったよ。

もう俺は
外には出たくねえ……」






あの小川が
スッカリ縮こまっている






そんな様子を
白井は
上から見下ろしていた。






(ったく
勢い良く出て行ったのに
情けねーな。

いくら森で
そんなもの
見たからって……)





ゾク………






そう思った瞬間、

突然白井の
全身の毛が逆立った。






なんであろう、
この寒気は?







白井は
後ろの窓から
何かを感じた。






気のせいだなと思い、
二人の話を聞き直した。







「小川さん、
ワシ達は朝になり
吹雪が止み次第
ここを出ようと
思っているのですが…」






「え…?
それはイヤだ!!

ここに人が
助けに来るまで待とう!

俺は外には出たくねえ」






「しかしですな、

ここに
ワシ達がいることは
誰も分かりませんから、

自力で下山するしか
ないのですよ」







「嫌だ!!

もうあんな目に
遭いたくない!!」





ここまでくれば、
ただの
駄々っ子の様である。






(そんなに
恐ろしかったのか。

一体雪男は
どんなヤツだろう?)






白井がそう考えていると





ゾク……






先程と同じ感覚である。






気のせいではない、

やはり確実に
何か得体の知れない
気配がする。







白井は
ゆっくりと
後ろを振り向いた…
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