雪情
【外からの威圧感ー8】


しかし
窓は何も変化がなく、

誰かがこの家を
覗いている様子も
みられない。







気のせいかなと、

そんな窓に恐る恐る
近付いてみた。






窓の外は吹雪いており、

何か潜んでいたとしても
これでは何も見えない。






真っ暗で見えないな…と
田崎達の方を
振り向こうとした時、


ブワッ!!







…この時だけは、

白井の人生の中で
今までにないくらいの
恐怖を感じた。







窓の外に
白い何かが見えたのだ。






(…今のは!!?)







だが、
それは一瞬しか
見えなかったので、

何なのかが
ハッキリとは
分からなかった。







(ただの雪か?何だ?)






それ以降、
外は何も変化がなかった






もしかして、
今のは雪が見せた
幻覚かもしれない。






小川に
こんな話を聞かされ、

心理的に
追い込まれている
今の状況……





それを考えれば、
ただの白い雪が
雪男に見えてしまう幻も

ないとは
言い切れないであろう。






だけどそう思っても
心臓がバクバク高鳴る。






気のせいであって
ほしいと、

白井は
心から願っていた。






窓から離れようにも、
不思議とそれから
目を逸らすことが
できずにいて、
立ち尽くす。






「何をそんなとこで
突っ立っているのだね?」






田崎の声に
やっと白井は我に返った







「……あ、ああ」






「どうしたんだね?」






「…いや、
なんでもねえよ」






と、そう言いながら
窓から離れた
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