雪情
【外からの威圧感ー12】


小川は
歯を食いしばりながら
白井に言った。







「貴様に…
…貴様に恋人を失った
悲しみが分かるか!!」






「………!!」







急に静けさが漂う。




まるで一瞬
その場が止まった
ようである。







白井の様子がおかしい。


田崎は
すぐそのことに
気付いた。






しばらくして、
白井はゆっくりと
口を開いた。






「…ああ、分かるよ…。

だから今
こんなことで争って
いないで、

アンタを
説得させようと
しているんじゃないか」







「分かる?分かるだと?

フン、
恋人を失ったことも
ないくせに、

そんな気持ちが
お前なんかに
分かるわけねえだろ!」






カチン……







その言葉に
白井は怒りを覚えたが、
ギリギリ自分を抑えた。







そして白井は
振り向きざまに
吐き台詞を言った。






「別にいいだろ、

アンタどうせ
あの女に相手にされて
なかったんだから。

数日
恋人ゴッコしていた女が
死んだだけだろ」






小川はその言葉を聞き、
目が血走った。







「貴様―――――――ー
ー――!!!!!
殺してやる!!!!」






もう誰も
止めることができる人は
いない。







小川は
自分の怒りを
抑えることができず、

拳を握り締め
白井に突っ込んで行った
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