雪情
【殺人の目ー5】


「白井よ……
お前さん………」






田崎が言いかけたその時


「すいませ~ん
刑事さん!

ちょっといいですか?」




大久保が田崎を呼んだ。





「……やれやれ」





田崎は立ち上がり、
二人の側に行った。




「何かね?」




「あ、小川さん
まだフラフラなので、
二階で寝かせて
あげたいのですよ。

運ぶのを
手伝ってくれますか?」




もう少し田崎は、
白井と二人きりで
話しをしたいが、

小川を
大久保一人で運ぶのは
無理そうである。





「分かりました。

では運びますか!」





二人は小川に肩を貸し、
二階へと上がって行った




そして
一番手前の部屋に
小川を入れ、
横に寝かせてあげた。




ここは前に
田崎、白井、川上が
寝ていた部屋である。




考えれば、
ここから大きな騒ぎに
発展したように思える。




田崎は屈んで、
そっと声を掛ける。




「大丈夫ですかね?
小川さん」




「……ああ」




小川は
一言だけ言葉を返した。




ここはさっさと
退散した方が
良さそうである。





「ではワシは
下に行きますよ」





「ハイ。
後は私に任せてください」





大久保は胸を張って
言った。



ここは
任せることにしよう。






「分かりました、
では大久保さん
お願いします」





田崎はそう言うと
部屋を後にした。




さっきの白井の話を
今一度詳しく聞きたいので、
田崎は急いで一階に戻った。





すると、
白井は横になって
眠っていた。





田崎は
残念そうに腰を下ろし、
フウっとため息を吐いた





ふと見ると、

先程の
白井が飲みかけていた
ビールが

置いてあった
< 215 / 284 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop