雪情
【殺人の目ー6】


(ゴクリ…)




白井も寝ているし、
一口くらい
景気付けに飲むかと、

正当な理由を
頭の中で
言い聞かせながら

ビールを掴んだ。






グビ!






一口飲むと、
プハ~と
言いたくなる位に

極楽を感じた。






「美味しいかい?」





「うむ、最高だね!!
………。え?」







白井は
うつ伏せの状態から、

横目で田崎を見ながら
ニヤついていた。






「あれ~
下戸って言ったのは、
どちら様でしたっけ?」






いっぱい食わされた!






白井は寝ていたフリで
ビールを置いておけば、

どんな反応をするか
実験していたのだ。






田崎は苦笑いをしながら
答えた。






「い、いや、
あくまで景気付けで
あって、

苦手なビールを
飲んだまでだよ」






「ふーーーん」







苦しい言い訳を前に、
白井は
おかしくなりそうで
あった。







「な、何か言いたそうな
顔だね?」






「別に~~~」






田崎は少しムキになり、


「ワシは飲めんからな、
絶対に!!」





「まあ
そう言うことに
しといてやるかな」





「全く偉そうに……」






と二人が
こんな能天気な会話を
している頃、

二階では
深刻な話が行われていた






小川は横になりながらも

大久保と会話をしていた






天井を見ながら、
小川は呟いた。






「大久保よ…
お前はどう思う?」





「難しいですね」





今二人は
雪男の目的を考え、

次に出る行動を
推測していた。






しかし、
いくら考えても、

殺人者の行動など
分かるはずもなかった
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