雪情
【殺人の目ー7】


「また
荻さんの時みたいに、
さゆりを調べたんだろ。

何か
手がかりくらいは
掴んだのだろうな?」




「いえ、
さっき話したの以外は
特に何も……」




それを聞いて小川は、
フウっとため息をついた




雪男に関して
川上を調べたのにも
関わらず、

何も分からないのが
気にくわないらしい。




「俺は
命がけで雪男に
出会ったのにな」




「立派ですね」




小川の場合
会ったと言うより、

追われたと言った方が
正しい。




「雪男め…
捕まえたら
どうしてくれよう」




「でも、
捕まえるのが
一苦労ですよ。

誰でも一撃で
殺害する凶暴さですから」




それを聞いた小川は
ある事に気付いた。




「…なあ、
さゆりは
心臓ど真ん中に撃ちこまれて
亡くなったんだろ?
それも一発のみ」




「ええ、そうですが」




「もしかして……」




と小川は考え始めた。




「どうしたんです?」




その時小川はピン!
ときた!




「分かった!
分かったんだよ、
雪男の正体!!」




「え…?」




………




一階では、
田崎と白井が
他愛もない話をしていた




「ほう~
お前さん若いのに
いろんな事知っているな」




「アンタの
年寄りの知恵袋も
なかなかだな」




田崎は
白井の得意な料理の話を
していたが、

本当に話したいのは
こんな事ではない。




うまく話を誘導させ、
白井の過去の話を
聞きたかった




しかし、
話せば話す程
内容はあさっての方向に
行ってしまい、

何故か今は
温泉の話になっていた。




(どこをどうなったら
料理から
こんな話になったのか…

…やれやれだね)




田崎はそう思い、
ひたすら
そのチャンスを狙った
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