雪情
【殺人の目ー8】


「それで
他にはどんな名湯が
あったんだ?」




「ああ、
ワシの地元に
温泉があっての。

しかも、
山の奥の湧き温泉だから
誰も知らない名湯だ」




このままでは
ラチが明かない。





思い切って
聞いてしまうか?




いや…

雰囲気がなくては、
そんな事は聞けまい。




それを尻目に
白井は話を続けた。




「あーあ
俺もそんな楽しい過去が
ほしいな。

数年前
捕まっていた頃なんて
最悪だったよ」




む?


白井が捕まった頃の
話をした。




過去を聞くなら、
今が絶好のチャンスである。




「白井よ、
一体過去に…!」




「あ。大久保さん
どうだった?」




白井の言葉に
田崎は後ろを振り向くと

そこには
二階から降りてきた
大久保の姿があった。




田崎はまたも
過去を聞くことに
失敗した。




「それが……」




大久保は
少し困り果てた顔を
している。




田崎も
毎度白井の話を聞けず、

違う意味で
困り果てた顔をしていた




しかし、
もう白井の過去を
聞くのを諦めた。




きっと、
白井のことを聞く度
邪魔が入るのは、

聞かない方がいいと言う
お告げかもしれない。




だから
自分からは聞かず、

白井から
話してくれるのを
待つことにした。




こんな事は
無理やり聞くもんでは
ないなっと

田崎は自分自身反省した




「それで、
どうかしましたかな?」




田崎が言うと、
大久保はため息をついた




「それが突然
『雪男の正体が分かった』
っと言って
暴れだしたのですよ」




「なんですと!?
正体が?」




これは興味深い話だ
< 218 / 284 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop