雪情
【近付く影ー9】


そう言えば
昔こんなこともあった。






強盗をした犯人を
捕まえた後に
公園を通った時、

急に犯人が
トイレに行きたいと
言いだした。







仕方なく
公園のトイレで
用をたすようにと
田崎は独断で言った。






個室のトイレは
窓があるが、
大抵
トイレの窓というのは
大人が通れそうな
スペースではない上に、
柵まで掛かっている。






なので
田崎は安心して
トイレに行かせた。






これがいけなかったのだ








数分経っても
犯人が出てこないので
呼びかけをした。



が返事はなかった。


嫌な予感がして
田崎はドアを蹴破る、
そこに犯人はいなく
ジャンバーが
脱ぎ捨てられていた。







トイレの
窓の柵というのは
簡単に取り外し可能で、

男は服を脱いで
ギリギリ窓から
抜け出したのだ。






これは
明らかに田崎のミスで
あった。







犯罪者は
時折ものすごい発想で
思いもよらないことを
する。







自分が逃げる為なら
素っ裸になっても
逃げるだろう。







それを田崎は
見抜くことが
できなかったのだ。







逃げた犯人は
数時間後逮捕されたが、
当然田崎は叱られて
始末書を書く羽目に
なってしまった。





要は、
田崎はつめが
甘いのである。







これは
よく言われることだ
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