雪情
【火で灯す闇ー4】


「そうです!

それで悲鳴を上げた
私を見ると、

銃を捨てて
窓から飛び去って
行きました!」







大久保から
発する全ての言葉が
信じられなかった。






またしても
雪男は銃を捨て、

闇に消えたと
言うのである。







「それで
俺らが駆けつけたって
わけだな……

よし、大体は分かった。
もう少し詳しいことは
一階で話そう」







一端、
落ち着かせるためにも
皆は
一階に戻ることにした。






「ほらよ」







戻るなり白井は
2人に水を差し出した。







やはり人と言う者は、
落ち着かせるためには
「一杯の水」と
いったのが、

一番であろう。







それぞれが
グビッと水を飲むと、

自然に落ち着きを
取り戻すことができた。







「あとは
アンタから詳しいことを
聞くといい」







白井は
田崎にバトンタッチ
するかのように、

ポンと背中を叩いた。






「では、
そうさせてもらおうかね

大久保さん。
ヤツは
どんな格好を
していました?」







「はい…
雪男は
全身真っ白な服でした。

顔は暗くて
よく見えなかったの
ですが…」







田崎が
大久保と二人で
小川を二階まで連れて
行った時から、

二階の電気は
一切点けていなかった。







なので、
大久保が雪男の顔を
確認できなかったのも、

仕方がないことかも
しれない。







「犯人の顔などは、
分かったとこで
どうにもならないから
気にしなくていいですぞ


他に
何か気付いた点は
ありますかな?」







「…あ、確か胸元に
黒っぽい防弾チョッキを
着ているようでした」
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