雪情
【火で灯す闇ー7】


しかし、
それを吹き飛ばすように
大久保は話し続けた。






「もしかして、

雪男はどちらでも
良かったのかも
しれませんね…」







「それは
どう言う事かね?」






「二階に一人でいようと
二人でいようと
関係なく殺害したのでは
ないのでしょうか?

一人きりのとこを
狙うと言う概念は、
私達が勝手に
植え付けたものですし…」







大久保のその考えが
間違っていると
いう事はなかった。






雪男にとって、

そんなことは
どうでもいいことかも
しれない。







「大久保さんの言う通り

そうかもしれませんな」






「でも、
そう考えましたら

一階に来るのが
もう少し遅かったら、
私まで殺害されて
いたかもしれませんね…」





一体雪男は、

何人の人を殺したら
気が済むのだろうか?






確実に田崎達の恐怖心を

蝕んでいるのが分かる。






「はあ~。

だからあの時
山を降りちまえば
よかったんだ」







白井は
ため息をつきながら言った。







「こうなると
予測できていればね」






「俺たち助かるかな…」






珍しく白井は弱気である






「何をそんなこと
言っておる。

らしくないぞ」






と田崎は
後押しするように、
白井を勇気付けた

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