雪情
【火で灯す闇ー12】


「ありがとうございます

では、すぐにでも
行って来ます!」






と大久保は立ち上がった







「ああ、大久保さん
銃弾ありますかな?

もし、
襲われて
銃を持ってても
肝心の弾がなければ
終りですぞ」







「はい、
まだ一度も
使っていませんが…」






大久保は自分専用の
ケースをカパッと開けた







そこには
綺麗に銃弾が並べられ、

一つも弾は
なくなっていなかった。







猟銃本体の
弾も出して確認し、
まさに綺麗なままで
あった。







そうである、
大久保はここに来て
まだ一度も
銃を撃っていないことを
田崎は思いだした。






前にも田崎は聞いたが、
大久保は
冷静な性格なので

猟仲間のメンバーの中で
獲物を撃つのを
確認しなければ、

怖くて撃てないと
話していた。






今はこの吹雪の中に
雪男がいるからといって

出会ったものは
すぐに撃てばいいと
言えないが、

雪男か確認していたら
逆に大久保が
やられてしまう
恐れがあった。







更に雪男は
防弾チョッキを
着ているので、

胸元以外を狙わなくては
ならない。







大久保はメンバーの中で
一番腕がないと
小川達からも
聞いたいたので、

当然田崎は
心配で仕方がなかった。







「そんな心配した目で
見なくても
大丈夫ですよ。

雪男に出会ったら
小川さんみたいに
必死で逃げてきますから」






大久保はそう言い、
靴を履いた。







もう外に出る準備は
万端であるようだ
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