雪情
【白井の過去ー8】


「…しかし、
今これで警察に行ったら
数年は刑務所を出られんぞ。

少なくとも
警察を何人も
負傷させているんだから

重い刑はまのがれない…

…それでもいいのかね?」





田崎は思った。





ワシは
何を言っているの
だろうと…





それでもいいのかね?

…だって?

と田崎は
自分に問いかけた。





そんなことを言って、
もし白井が嫌と言ったら

一体ワシは
どんな行動に移すか……





自分でも分からなかった






しかし、
そんな心配をする事は
なかった。





白井は素直に
自主する事を告げた。





「嫌とは言わねえよ。

ここで逃げたら
あんたの責任は重大だ。

それに
罪をしっかり償わないと
墓に行ってアイツに
合わさる顔がねえよ」





罪を償うと言っても、
白井は実際のとこ
刑が軽いであろう。





殺人を犯したのは
理由があっての事で、

しかも相手は
ひき逃げ犯である。





その上
唾もかけたとなれば、

大げさであるが
藤川が殺されても
仕方がないと思われよう





しかし、
それは誰かが
見ていた場合である。





そう……
証拠がなければ、

警察というものは
全く聞いてくれない。





それは白井自身、
嫌と言う程
分かっている事であった。





なので、
刑が軽いはずなのに
白井は重罪と言う罪に
問われる事になってしまう。





強盗殺人に加えて、

警察に手を出した
公務執行妨害を
合わせての刑の重さで
あった。





「でも、
なんでそんなに
長く刑務所に
いなきゃいけねえんだ…

あんなこと言われたら、
手を出さないヤツなんて
いねえよ」





白井は
拳を握り締めていた。





余程、
悔しかったであろう
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