雪情
【推理の末にー2】


「情けないねえ」




田崎はそう言いながら
部屋から出てきた。




(情けないって、
刑事でもない一般人から
したら

死体なんて
見慣れてないし、
そんなのこええよ)




白井はそう思いながら
階段を下りた。




再び窓の前に
腰を下ろすと、

白井はマジマジと
銃を取ってみた。




「やっぱ銃って凄いけど
怖いな。

こんなので
人の命を
簡単に奪えるんだしよ」




「そうだね…

こんな物は
作られなければ
いいのかもしれんな」




そう言い
田崎は白井から
銃を取った。




「んで、
中に銃弾はあるのか?」





「あるはずがないね」




と銃を外して見てみると
やはり銃弾はなかった。




当たり前である。


これで雪男は
小川さんを撃ったのだと
大久保は話してくれたの
だから。




「この猟銃は
弾を込めるのが
一発式だからね。

二個以上は
入らないように
なっているのだよ」




田崎の拳銃とは違い、

連射ができないのが
大きな特徴である。




「へ~
じゃあ一発しか
撃っていないんだな。

そんなに腕がいいなんて
雪男は猟師さんかもな」




相変わらず
バカなことを言う。




いつもの白井に
戻ってきているようだ。




「でも雪男も
大分話が変わったな。

村の伝説も
あてにならない」




「お前さんの言う
村の伝説の雪男は、

どんな話なのかね?」




「まあ俺の聞いた話じゃ

いつも殺害された人は
首を折られて死ぬとか
聞かされたぜ」




白井の言う通り

荻原はこれに
該当するであろう。




「でも、
雪男は武器を持たない
って点は当てはまるけど

武器を奪って
相手を殺害なんて
聞いたことがないな」
< 251 / 284 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop