雪情
【推理の末にー6】


すると田崎は
ハッとしたように
一階に降りた。







今度は白井の手を
引いてである。







「な…!
なんなんだよ!」







白井の言葉を
聞いていないようで、

田崎は白井に
無理やり防寒具を着せた。







「おい、
なんでこんなもの
着させるんだよ!」






「時間がない
急ぐんだ!!」







「時間がない??
どう言う意味だよ!」






すると田崎も
薄手のコートを着た。






「説明している
暇はないわ!

急いでこの家から
逃げるぞ!」







「気でも狂ったか?

外には雪男が
俺らを
狙っているんだぞ!?」







「そんなもんは
最初から狙っておらんわ!」






そう田崎は言い切った。







「は?
どこに潜んでいるのかも
分からないんだぜ?

それに
大久保さんの帰りを
待たなきゃ…」







「その大久保が
帰ってくるから
急ぐんじゃよ!」







そう言うと、
突然ドアが開いた。






「……随分
興味深い話を
していますね」







そこに立っていたのは
大久保であった。







「遅かったか!」






と田崎は言い、
懐から銃を取り出した。







ドン!!







銃声の音と共に、
田崎の手から
拳銃が離れた。







「おっと……
動かないでくださいね」







大久保は、
銃を前に突き出しながら
そう言った。







先に撃ったのは
大久保であり、

見事田崎の持っている
拳銃だけを当てたのだ。







大久保は
ゆっくりと銃を下ろし、

それに弾を詰めると
再び銃口を
田崎達に突き出した
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