雪情
【誘惑ー3】


「そうだな
ワシも歩き疲れた」






と荻原も
肩をならしながら言った






「ワシは
白井と一緒に寝るよ」






田崎はあらかじめ
言っといた。






それを聞いた川上が、
何かをひらめいたように
言う。







「あ、じゃあいつもは
二階の二部屋を使って
二対二に分かれて
寝てたんだけど、

今日は
刑事さん達がいるから、
三対三で寝られるわね」






この案に小川は反対した







「おいおい、
それはないだろ?」






川上は
ニッコリ笑いながら
言った。







「あら、なんでかしら?」







「上の二部屋で
いつものように別れて
寝て、

刑事さん達は
ここの居間でいいだろ?」






「ここじゃ寒いし、
わざわざそんなに大勢で
別れて寝ることないわ。

三対三で寝るのが無難よ」







確かにここは寒いし、
二階の二部屋は
どちらも三人寝られる
スペースがある。







いつもは

大久保・荻原ペアと
小川・川上の恋人ペアに
別れて寝ていたのだ。







だが小川は
直感でヤバイと感じた。




こんな案を
川上が進んで言うのは、

何か良からぬことを
考えているかも
しれないと
思ったからである。




「じゃあ私が
刑事さん達と一緒に
寝るわ」




小川の予感は当たった。




川上は
白井が目的で
こんな案を出したのだ。




当然小川は猛反対する。





「そんなのダメだろ!」




しかし反対するだけで
理由が出てこない。




小川の性格上
「お前は俺の彼女で
浮気しないか心配だ」
なんてことは
言えないのである。




そんな性格を
川上は分かっていた
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