雪情
【誘惑ー4】


「特に理由もないのに?
私は理由がちゃんと
あるわ。

この山に雪男なんて言う
犯罪者がいるなら
まとまって寝た方が
いいし、

私はただ一人の
女の子よ?

拳銃を持っている
刑事さんが居たほうが
安心だわ」



「銃なら
俺達だって………!」



小川がそう言うと、
川上はすかさず

「いざって時に
猟銃が役に立つと思う?

玉を詰めたりして
時間がかかるわ。

だから、
常備拳銃を持っている
刑事さんの方が、

冷静だし素早いわ」



小川は焦り考えた。



そして



「じゃあ
俺とさゆりと刑事さんの
三人で一緒に寝るって
ことでもいいな?」


ギリギリで
考えた手である。


何も白井もいなきゃ
いけないってことは
ないだろう。


小川は
何とか白井と別々に
することを考えたが、

逆に川上は
何とか白井と同じ部屋に
なることを考えていた。


「それはダメだ」


そう言ったのは
田崎である。


二人の言い合いを
横から割ってそう
答えたのだ。


「ワシは
この白井と寝るから
別々にはならんよ」


もちろんそれは、
田崎は白井と離れる
わけにはいかない
からである。


小川は
田崎を睨みながら言った


「あんた客人なんだから
少しは遠慮したらどうだ?」


しかし川上は
チャンスと思った。


「そんなこと言ったら
お客さんに失礼よ!

この二人が
一緒ってことなら、
やっぱり私だけ
刑事さん達と一緒に
寝るわ。

特に理由がなければ
それが普通よ」


「しかし……」


と小川がつぐむと


「私の考えが
問題あるって言うの?」


と川上は言った。


こう言われたら
何も言えなくなってしまう。


もはや小川に
反対する言葉は
なくなってしまった。


「じゃあ決定ね!」


こうして二階の部屋に
三人三人で寝ることに
なった。


無論田崎達は
小川が何でこんなに
反対するか分からなかった
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