雪情

【誘惑ー７】


しかし、
白井はそんな川上を
払いのける。






「触るな」



と一言を言い、
何事もなかったように
また寝直した。





それでも、
川上は引かなかった。





「あなたのこと
気になっていたの、

恋人がいないなら
別にいいでしょう？」





白井に反応はない





「たった一晩でも
いいから、ね？

白井さん」





それでも白井は答えない






川上は負けじと


「せっかく
恋人の小川さんの
反対を押し切ってまで、

白井さんと
一緒になるように
同じ部屋にしたんだ
から……」





ここで田崎は初めて
小川があんなに
反対して理由が分かった





すると、
その言葉に白井は
反応した。





「…あんた、
恋人がいたのか……？」





川上は軽く笑いながら


「そうよ、
隣の部屋で寝てる
小川さんよ。

でもあなたの方が
いいと思っているわ」





その答えに
白井は起き上がり
激怒した。





「ふざけるな！！
恋人を何だと
思っていやがる！！

大事な人がいるのに、
そんなことして
いいのか！？

あんたは
最低な女だな！！」





川上は
目を見開いて
ビックリしている。





だが、
それ以上に
田崎はビックリしていた





鳩が豆鉄砲を食らった
かのようである。





すると、
その大声で
隣の部屋から
小川が飛び込んできた。





「どうした！！
何があった！！」





やはり小川は
隣の部屋が気になり、

寝ずに聞き耳を立てて
いたのである。





普通の会話は
小川には聞こえないが、

白井の怒鳴り声だけ
聞こえたのだ。





「貴様！
さゆりに何をした！」





小川は白井の方を
睨みつける