雪情

第７章 吹雪く恐怖

【決意ー１】


人は
ありえもしないことを
目も前にすると、

動けなくなってしまう
ことがある。






田崎達は
今その状態であった。






固まっていた時間は
ほんの
１分も経ってないが、

まるで数時間その場に
立ち尽くしているような
感覚だった。







ありえもしない人の
突然の死………




たとえ
短い付き合いの相手でも

それを
なかなか受け入れられる
ものではない。






最初に白井が口を開く。






「…どういうことだよ…
…何が起きたんだよ…」






その声が聞こえたのか、
田崎は
ゆっくり荻原を
横に寝かせ、
立ち上がった。






そして、
白井の耳元まで近付いて
一言言った。






「雪男が出た」






その言葉に
白井は耳を疑った。





やはり吹雪の日は、
雪男が出ると言う噂は
本当だったのだ。






「こんなとこで、
どうしたの皆？」






様子がおかしいことに
気付いたのだろうか。


川上も小屋から出てきた






「何度言っても
私は戻らな………」





が、
川上は横たわっている
荻原に気付く。






「ちょ、ちょっと
どうしたの！？」







田崎は川上の耳元で
話した。






「荻原さんが殺された。
詳しい説明は後にして、
ここは一端我々と家に
戻ってもらえますかな？

緊急事態なので、
嫌とは言わせませんぞ」






とにかく
ワケが分からず
川上は肯いた。






「皆さん！！
ワシと一緒に
家に戻りましょう！！」






そう田崎は言い、

言われるがまま
全員家へと戻った