雪情
【雪山ー8】


確かに
心配してくれるのは
ありがたい。




だが
刑事というものは
疑うことが仕事だと、
言われ続けられたので、

簡単に
犯罪者の言うことは
信用してはならない。




まあそのせいか、
何でもかんでも
疑ってしまう刑事も
少なくない。




田崎はそのような考えは
好きではない。




よく考えれば
スジの通った話や、
信用してもおかしくない
話もある。




しかし、
この男の場合
人1人を殺しており、
こんな村の中に身を隠し、
時効が明日に迫って
いるのだ。




そう簡単には
信用するわけにも
いかない。




一体
何を企んでいるのやら…




そう考えているうちに
道が広がり
周りの木が少なくなってきた。




山の中盤まで
来たのだろうか?




坂も滑らかになった。




「やあ、これで少しは
気が楽になる」

と田崎はホッとする。




足取りも軽くなり
頂上を目指し進んでいく




だけど、
どこまで登らなければ
ならないのか?




田崎は
白井に聞いてみることに
した。




「この山は
後どのくらいで頂上に
着くのだ?
村に住んでいたから
分かるだろう?」




それに対し、
白井は何も返事を
しなかった。




「やれやれまたかね…」
と呟く。




まあ遭難することは
ないので、
ひたすら登るしかない。




にしても
この男には嫌われた
ものだな。




かと言って
先程の忠告を
聞くわけにはいかない。




仕方のないことなのだ…




ビュウ!!




急に雪が吹雪に変わった




山というのは
本当に天候が変わり
やすい。




そう思っていると
吹雪になったと同時に
白井の様子も
おかしくなってきた。




しきりに
周りを見回したり、
頭を掻いたりして
落ち着きのない感じだ
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