雪情
【決意ー7】


しばらくして、
沈黙に
耐えられなくなった
田崎が口を開く。



「とにかく、
また雪男が現れなければ
良いが……」



大久保も口を開いた。



「確かに
私たちの前に現れたら
危険ですね。

全員武器を
持っていた方がいい
ですよ」



「まあ、
ワシにはこいつがあるよ」



田崎は自分の拳銃を
取り出した。



「しかし、
そうなると白井さんだけ
何も持っていませんね」



と大久保は立ち上がり、
荻原の銃を持った。



「さっき
倒れている荻さんの銃を
持ってきたんですよ。

白井さんどうぞ」



眠ってはいないので、
白井は起き上がると
銃を受け取った。



いくら護身でも
白井に銃を持たせて
大丈夫だろうか、
という心配は
田崎には
もう感じなかった。



とにかく
今一番危険なのは、
外に潜んでいる殺人犯だ



だが、
ここで小川が喰いつく。



「おいおい大久保。

そんなヤツに渡して
危なくねーか?」



大久保は
小川の方を降り向き

「大丈夫ですよ、
私もさすがに
初心者にコレを渡すのは
忍びないのですが、

場合が場合です」



珍しく
小川はそれ以上
何も言わなかった。



大久保は白井の方に
向き直した。



「では白井さん。

猟銃の使い方を
教えますね」



大久保は、
白井に猟銃の使い方を
教え始る。



白井は
猟銃が珍しいのか、
熱心に話を聞いている。



「にしても
まったくこの吹雪は
いつになったら
止むのか……」



田崎は外を見ながら呟く



そんな田崎を
あざ笑うかのように、
まだまだ止む気配がない



この吹雪のせいで、

こんな事件にまで
発展するとは
誰が予想できたの
だろう?



これ以上
何も起こらないことを、
田崎は祈った
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