雪情
【決意ー8】


「吹雪は
急に止むかもしれない
ものですよ」






白井に猟銃の使い方を
教え終わった大久保は、
こちらに来て答えた。





「もう、
教え終わったのかね?」






と田崎は白井の方を
見ると、

白井は
また横になっている。






今度こそ
完全に眠ったみたいで
ある。






「ええ、
覚えが良くて
すぐ教えられましたよ」







「それで、
こんなに吹雪いて
いるのに
止むものですかな?」






「そんなものですよ

吹雪は。

いつもなら、
この時間に私達は
寝ている頃ですが、
たまに目を覚まして
窓を見ると、

吹雪が止んでいる時が
あるのですよ」






田崎には
山の天候のことなど
知る由もない。






「今すぐにも
止んでほしいものですな」






「ですが、
朝まで待っていた方が
良いと思いますけど…」






「朝までか………」





「早くこの山を
下りたいかも
しれませんが、

いくら吹雪が止んでも
夜は危険です」





雪が止めば、
たぶん雪男は出ないので
夜の下山も平気だろう。





しかし、
山のプロがそう言うので

やはり
朝まで待っていた方が
いいのかもしれない。






白井の時効も
まだ明日までなので、

ここはひとまず
大久保の言う通りに
しておいた方がいいと
田崎は思った
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