比丘尼の残夢【完】
不意にご主人様は悲しそうな顔になり、俯いた。

「えっ、え?」


だが次に顔を上げた時には、悪魔のような顔をして笑っていた。


「お前さんは俺の性奴隷だ。毎晩こう、裸を縄で体中縛り上げてな? 蝋燭垂らして、やらしく身を捩って俺を楽しませるわけだよ」

「えええええ!?」

「いろいろ仕込んでやるから楽しみにしておけ」

聞いて、いない。

こんな天国が他にあろうかと思ったばかりなのに、早速地獄であったとは。

田舎に残してきた両親にもう顔向けできない。

そんな恥ずかしい目にあったら、もうお嫁にもいけない。

泣きそうになった。

いくらご主人様と言えど、見知らぬ男に身を汚されるくらいならいっそ死にたい。


「うぅ...」

この白いエプロンは、紺色の腰巻と同じく短いな。

涙も拭けやしない。
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