比丘尼の残夢【完】
ふざけていやがる、こんなときに。


「ご主人様、いつもあんな風に苦しくなるのですか... 」

「違うんだよ! 
たまたま食後の薬飲むのすっかり忘れてて、それで?」

私はそんな薬を飲んでいる事すら、知りませんでした。


「あの、治るんですか? 手術したら」

「ああ、... 聞いてたの」

ご主人様は顔を曇らせて、嫌そうに耳を掻いた。


「はい、聞こえちゃって。スミマセンです」

「お前さんもそうしろとか、言うの」

だったらウザいな、と顔に書いてある。


「そんなこと言えませんけども! 
今まで見せないように気を使って下さってたのですか。
水臭いですよ、そんなん... 」

役立たずなりに、見慣れてさえいればなにか出来たかもしれないのに。

私が子供だからですね。

田舎者だからですね。


「...... ごめんなさい...... 」
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