比丘尼の残夢【完】

※scene4『惚れた男に言う台詞』

その日から私は、変わった。


「厠ですったら... ついて、こないで」

「...... 」

片時も、ご主人様から目を離したくありません。

また倒れているんじゃないかと思うと、夜も眠れません。


ひょっとしたらここはあの世の縁で、私もご主人様も既に他人からは忘れ去られているのやも?


「ナナミ! 大変だーっ」

来るなと言ったくせに呼ばれ、私は慌てて部屋を飛び出た。


「ど、どうしましたっ」

「厠にカエルいた。こんなでかいの捕まえた! 見てよ」

「ひぃっ!!!!」

べちょと顔に投げつけられて、メイド服の短いスカートの私は後ろに倒れた。

カチューシャが外れ、その上をカエルがピョンピョン。


「玩具だよ。これをいつお披露目しようか、ずっと機会を伺ってたんだ」

「!」

「毛虫もあるよ。他にもあるけどまた今度!」
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