比丘尼の残夢【完】
私が頭を打ってあの世に行くのと、ご主人様が三途の川を渡られるのとどちらが早いか... 。

これはこの人と私の、勝負なのかもしれない。


「暇だからいろいろ思いついてしまってさぁ」

ケラケラと笑っているが、こんなのうちの弟たちだってやらない。

田舎ではカエルが珍しくないのもあるが... 。


「あのぅ、... ご主人様は、いつから病気を患っているのですか?」

どう見ても、生まれつきやら長く病床生活をしているようには見えないのだ。


「離れに来て、もう3年になるかねぇ?」

「3年もここで!」

驚いた。

女中が誰かいたとしても、あの医者とその人としか会わずに3年!


「...... 」

同情する...... 。

悪戯くらい許してあげたくなる。
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