比丘尼の残夢【完】
「うん。何かあったらすぐ呼ぶんだよ」

「お薬、ちゃんと飲んでくだせぇまし... 」

「俺の心配なんて良い。早く行け」

トボトボ。


一応、寝巻に着換えて布団に入った。

こんなのサボっているようなものだ。

きっと嘘はすぐバレるのだし、そうしたら私はご主人様に怒られる。

それよりも、きっとあの人は悲しむだろう。

私までがあの人を騙して、良いのだろうか... 。


医者と外出した日の翌日に、またご主人様の発作を見た。

薬を飲んだら治まったけれど、あんなに苦しそうなの見ていられない。

けれど見ていられないのは、私の我が儘なのか... 。



悩んでいたら、すぐに午後になって呼び鈴が鳴った。

医者はまっすぐに私のところにやってきた。
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