比丘尼の残夢【完】
「そ、そんなことが... 」

「先ず検査だ。それから手術。
大丈夫、お前が治る病気なら、彼女も治る」

「治らないなら... ?」

「そんなの知るか。
お前がうつしたんだから、先に手術は受けてもらうぞ。実験的な意味で」

ここまで巧く行っている。


「ナ、ナミ... 」

「へぇ」

「済まない。謝って済むことじゃないのはわかるが、謝らせてくれ... 」

私なんかのために、なんて顔をなさるのです... 。

最初の日に騙されやすいのは私だとご主人様は言ったが、この人もころりと騙されてしまっているよ。


「いや、私は... 」

そんなに興奮なさると、お身体に触ります。

仮病だから心配しないで!


「あんなに尽くしてくれたお前に、俺はなんてことを... うっ」

嗚呼、だから言っ... てないけど、思ったのに!
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