比丘尼の残夢【完】
「てめーは、子供相手になにやっとるんじゃ。頭を冷やせ」

これぞまさに、冷や水を浴びせるの体現。


「う、... どうして今日いるの」

そーだ! そーだ! 医者の来る日は明日だったはずだ。


医者は綺麗に畳まれたハンカチをポケットから取り出し、優雅な仕草で白衣に跳ねた水を拭いた。


「明日は用事が出来た。
何時来たっていいだろう? お前は何時でもいるんだから」

その通りです。

用事ないですから、うちのご主人様。


「... 何時から見てた。デバカメとは卑怯な」

「大丈夫ですか、からだな。
死んだのかと慌てて来てみたら、これだ。
何処までやるつもりか見てやろうと思ってた」

うわぁ、恥ずかしい!!

まともに抵抗もしてないところを見られてしまった!

青ざめて、頬を潰して俯いた。
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