比丘尼の残夢【完】
「うん、本館と逆の方に出るとテーブルがあるから。そこに持ってきてちょーだい」
その場所なら知っている。
さっき窓を拭いていたときに、気持ちの良さそうな場所だなと思ったのだ。
お盆から食事を並べて所在なく待っていると、ご主人様がやってきた。
お食事中の女中と言うのは、何処に立っていたら良いものなのやら。
お盆をレースの服の胸の前に防具のように持っている私に、可笑しそうに彼は一瞥を投げた。
「あれ? お前さんのはなかった?」
「はっ、... ありました、けれども...」
「一緒に食おうぜ。寂しいじゃないの、一人なんて」
彼は当たり前のように笑って席に着いたが、こちらは開いた口がふさがらなかった。
同じテーブルで食事をするなんて思いもよらず、自分の分は台所に置いてきてしまった。
大体豪華な食事の内容まで同じで、相当驚いた所なのだ。
「お待たせ、しました...」
しかも私が来るまで、手もつけずに待っていてくれた。
その場所なら知っている。
さっき窓を拭いていたときに、気持ちの良さそうな場所だなと思ったのだ。
お盆から食事を並べて所在なく待っていると、ご主人様がやってきた。
お食事中の女中と言うのは、何処に立っていたら良いものなのやら。
お盆をレースの服の胸の前に防具のように持っている私に、可笑しそうに彼は一瞥を投げた。
「あれ? お前さんのはなかった?」
「はっ、... ありました、けれども...」
「一緒に食おうぜ。寂しいじゃないの、一人なんて」
彼は当たり前のように笑って席に着いたが、こちらは開いた口がふさがらなかった。
同じテーブルで食事をするなんて思いもよらず、自分の分は台所に置いてきてしまった。
大体豪華な食事の内容まで同じで、相当驚いた所なのだ。
「お待たせ、しました...」
しかも私が来るまで、手もつけずに待っていてくれた。