比丘尼の残夢【完】
じっとしていれば窓からは良い風が入ってくる。

ご主人様は大きく伸びをした。


「暇だから昼寝でもするかぁ」

呼ばれて隣に座った私の膝を枕に、彼は気持ちが良さそうに眼を閉じた。

あれ、こんなスキンシップも久々だ。

眠ったとばかり思っていたら、不意に口を開いた。


「俺、今猫だから」

嗚呼そういう事か。

だから膝で寝ている。


「人でなし、ですね」

「誰が巧い事を言えと... 」

お似合いだ。


「自分の半分の年の子供に手を出そうとして、叱られて凹んでる人でなしです」

「えっ、倍の年なんですかご主人様!?」

「左様」

兄ちゃんよりも5つも上であったとは... 。

兄ちゃん苦労してるからなぁ。
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