比丘尼の残夢【完】
「なんだと!?」

明日お別れかもしれない。

最後の機会。

恥ずかしがっている場合などではない。


言わねばならぬことなどないが、しなくてはならないことはあった。


取引したのだ。

死んでしまったら、治ってからとか無理ではないか。


ご主人様はたぶん、そんなことをしてしまったら自分が死んだあとに私がお嫁に行けなくなると思っている。



接吻はどうやるのだ。

口を押し付けたらよいのか?


「御免なさいまして!」

「うぉっ」

ガチリと歯があたって、ご主人様は口を押さえて呻いた。


「行き成り... な、なにをするんだお前というやつは...... 」

私も大ダメージだった。唇切れた。


「うぅ...... 」
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